自転車でめぐる東海道キーホルダー探しの旅

<第4日目 平成24年9月23日(日)

6:30 起床。1階の大正ロマン風が売りという食堂で朝食。ししゃもに卵かけご飯、ひじき、味噌汁。粗食だけどこういうシンプルな食事もたまにはいいかも。きちんとコーヒーも付いている。ふと外に目を向けると、雨?嘘?天気予報晴れじゃなかったっけ?

7:30 出発。一応もってきておいた雨具が役立つときが・・・。昼くらいにはやむということだが、走行距離にどれほど影響があるか分からない。雨脚は結構強い。合羽は着ているが、安物のビニール製なので、あっという間に汗で蒸れてすぐにTシャツも濡れて、靴もぐしょぐしょである。

8:50 順調に木曽川を越え三重県入り。距離も速度も思った以上に雨には影響を受けないで済んでいる。朝食が粗食だったせいか、腹が減るのが早い。コンビニでクリームパンと牛乳で間食を取る。

10:15 案内板に大津の表示が!ということは京都までもプラスの分考えても100キロちょっとだ。ただし、平坦な道が続いた昨日と違って、今日は鈴鹿の峠越えが控えている。予定通り京都に到着できるか、いまだ未知数である。天気はなかなか回復の兆しが見えない。降ったりやんだりという感じだ。

12:30 ようやく雨がやみ、心配してくれた職場から電話が入った。関東もどうやら台風の影響でひどい雨降り模様の様子。コンビニで合羽を脱ぎ、荷物の雨カバーも全て外し、身軽になって再スタート。

13:00 道の駅・関宿で休憩。名物だという草餅を間食。1種類だけどきちんとKHもある。今度の旅ではなぜか皮小判KHを多く見かける気がする。

この関宿という宿場町は国道1号のすぐ裏道にあって、東海道でも有名な観光地ということなので、予定外ではあるが立ち寄ってみることに。今まで見てきた宿場町は1軒だけの旅籠だったり、どことなく昔の雰囲気を残している感じであったりと、それほど期待せず何気ない気持ちで訪れたこの宿場町は、見事に私の予想を裏切ってくれた。延々と続く宿場の町並みはまさにタイムスリップ気分を味わうことができる異世界へと誘ってくれる。国1からでは気づかなかったが、かなりの観光客で賑わっている。今まで民家園や歴史村など数多く見てきた中でも、最大級の歴史的建造物群である。しかも、この街が他の名所と違いすごいのは、現役で人々が生活の場として利用しているということである。この日本の伝統文化を象徴する町並みは本当に大事に保存していって欲しいと願った。今度は家族と一緒に1日かけてゆっくりと回りたいものだ。

 

13:30 観光で気持ちも新たに京都を目指す。関宿からすぐに国道1号に復帰すると、すぐにだらだらとした坂道が現れた。そう、すでに鈴鹿峠との戦いは始まっていたのである。箱根や中山と違い、自転車に乗っていられるほどの緩い坂道が続く。道はしっかりと舗装されていて、路側帯もそこそこ広めにとってあるので、段違いに走りやすい。それでもさすがに30分以上坂道をこいでいると足がパンパンになってきた。500メートル歩いて500メートル漕ぐの繰り返しで峠を攻める。ときおり崖下の清流を眺めては気をまぎわらし水分補給する。峠越えはとにかく汗をかく。ハンドルを握る腕にもすぐに玉のような汗が浮き出てくる。次第に眼前に迫る山々は、雲に覆われ神々しささえ感じる。まだかまだかという箱根のときのような悲壮感はない。

14:35 そして突如現れたトンネル、確か鈴鹿の終わりにはトンネルがあると柏屋のおじいちゃんが言っていた。とうとう鈴鹿峠を攻略したのだ。正味1時間強。距離にして約6キロ。あっけない幕切れであった。トンネルを抜け一気に坂道を下る。

14:50 道の駅・あいの土山到着。ここでは琵琶湖関連のKHが5種しっかり売っている。気になったのは私も購入したことがある同デザインの近江八幡KHが若干?安っぽくマイナーチェンジされていること。

それにしても腹が減った。間食でパンと草餅を食べてから昼飯を食べていない。黒米でつくった名物の黒影棒という巻き寿司を420円で購入。10切れほどに切れており、4巻きだけ食べてあとはまた小腹が減ったら食べよう。はっきり言って美味い、これはお勧めである。

15:10 道の駅発。ゴールまで50キロ、目標はすでに射程内だ。あいかわらずお尻は痛い。ここからはしばらく平坦な道が続き、速度もテンションも上がる。時折一見して自動車専用道路としか思えない区間に出くわすが、軽車両通行禁止の標識もないから大丈夫だろうと一気に突っ切る。道路わきでスピード違反の計測をしていた滋賀県警のおまわりさんも何も言わないからやはり問題なかったのだろう。でも、合流路線があったり車両はスピード出していたりと、安全確認を怠ると交通事故に遭う危険性もあるから気は抜けない。

17:00 午前中の雨で服はとっくに乾いていたが、靴下が湿ったままだったので、気分転換に靴下を交換。100円ショップで用意しておいたスペア用の靴下がやっと役立った。ついでに黒影棒を2切れ頬張る。残り20キロとなり、今までは車に遠慮して歩道を走ることが多かったが、ここからは路側帯に出てさらにスピードアップ。

18:10 すでに大津市内に突入し、日が暮れかけている。琵琶湖を一目見たかったが、京都はすでに目前、足が止まらずそのままの勢いで大津駅付近を通過。ここでまた上り坂が出現。峠というほどではないが、傾斜はきつめ。京都は盆地で平地という思い込みもあったため、あと6,7キロというところで精神的ダメージは結構でかい。体の水分が全て搾り取られるかのように汗が滴り落ちる。しかも歩道狭っ!路側帯がないから歩道を行くしかない。反対から歩行者来たらすれ違えるのだろうか?20分ほど手押しして、一気に下る。高さはそれほどではなかったろうが、傾斜がきついこともあって本日マックスの40キロオーバーを記録。このまま三条大橋突入か?と思われた矢先、あれ?また上り坂だ〜!嘘だろ~、だらだらと長く緩やかな上りが続く。本当なら自転車に乗ったまま上れるくらいの坂道なのだが、もう足はぱんぱんで仕方なく再び手押し。距離的におそらくこれが最後の試練となるだろう。この最後の坂は時間的には15分くらいであったが、精神的には長く長く感じられた。坂が終わるころには新幹線も平行して姿を見せ、もう本当にゴールは目の前!のはず。下り坂をノンストップで駆け抜けると、おー!!橋だ、ついに到着か?

19:30 五条大橋到着。やったー!!とうとう京都市内に到着したのだ。あとは三条大橋のたもとにあるという弥次さん喜多さんの銅像の前で記念撮影すればミッション完了である。鴨川のほとりに軒を連ねる店は、今まで距離との戦いで汗をかいていたのが嘘のようににぎやかな雰囲気だ。今までの道のりをかみ締めるように繁華街の路地をゆっくりと三条大橋方向へ向かう。

19:50 三条大橋到着。弥次さん喜多さんの像の前には若者の酔客が多数たむろしており、なかなかシャッターチャンスが来ない。誰もこの銅像があることを特別視している様子もなく、腰掛けて煙草を吸ったり、酒をかっくらっている。スマホで本日の宿泊先を探しながら、人が掃けるのを待つことにした。到着したらどんな気持ちになるのだろうか?と自転車をこぎながら何度か考えていた。予想としては、家族や職場に対する感謝の念でいっぱいになる、というものだ。しかし、実際は違った。もちろん、感謝の念もある、が最も私の心を大きく占めていたのは、美味しいものを腹いっぱい食べたいという煩悩であった。旅行中は、ダイエットが目的の一つということもあって、口にするものはなるべく低カロリーの粗食を心がけていた。その反動もあってか、次第に無事京都に着いたら美味しいものを食べたいという欲求が私の心を支配するようになっていったのである。だから、今日の宿は豪華朝食バイキング付のAPAホテルを予約した。私用や出張で使ってきた経験として、部屋も食事もAPAにハズレはない。そのうち不思議とすーっと皆いなくなった。今だとばかりにパシャリ。よっしゃ、ミッション終了!!!銅像横の立て札を眺めると「道中安全祈願 ふれあいの弥次喜多さん 旅は道づれ世は情け 道中安全願いつつ ふれて楽しい 旅のはじまり」あれ?旅の終わりじゃないんだ?まあ、いいっか。少ししっくり来ない部分もあったが、家に到着の電話を入れた。いつか子供たちとこの銅像の前に立つ日が来るのだろうか。

本日の走行距離:155キロ 

   平均速度:15.7キロ 

   最高速度:41キロ 

   走行時間:10時間 

   消費カロリー:1700キロカロリー

 

総走行距離:542キロ 

走行時間:36時間 

消費カロリー:6000キロカロリー

体重:3キロ減

 

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