はじめに

 

 私がキーホルダーを集めるきっかけとなったのは、小学四年のとき。当時、筑波博が華々しく開催され、近所に住む後輩の慶一君がお土産で買ってきてくれたのがコスモ星丸のキーホルダーでした。それからは、特にキーホルダーに限らず、知り合いから頂いたり、自分で買ったお土産は箱に入れて大事にしまうようにしていました。

 コレクションとして意識するようになったのは、高校一年のとき。

 修学旅行で関西をまわったのですが、妹のお土産にと思い、広島、姫路、京都、奈良など訪れる先々でキーホルダーを買い集めたのです。全部で十五個ほどになったでしょうか。

妹に渡すと、「いらない。」と一言。仕方がないので、代わりに八橋をあげ、キーホルダーは自分の記念品にしようかとしげしげと見つめていました。

するとどうでしょう。これはこれでなかなか見栄えのするコレクションになるではないですか。

大学進学のため上京し旅行する機会が増えると、キーホルダーも加速的に増えていきました。また、バイトで旅費を稼ぎ、自ら積極的に日本各地に赴きました。

そしていつしかキーホルダーを購入するために旅に出かけるという本末転倒の構図が出来上がったのです。ただし、貧乏大学生なわけですから、資金には限りがあります。ユースホステルと青春十八切符を使っての安旅でも日本すべての名所をまわりきるのは至難の業です。

そこで、友人を巻き込み、子供のころ集めていたコレクションをもらったり、実家に帰る際には買ってきてもらうようお願いしました。

こうして収集を開始してから十六年。お土産の多様化に伴い、キーホルダーは確実に減少してきているように思われます。

土産屋には地方限定のキャラクターものが跋扈し、すでに旅土産の王道であったペナントはほぼ壊滅状態に追い込まれました。キーホルダーも同じ道をたどってしまうのでしょうか?

それが世の流れなら逆らうことはできませんが、私はせめてもう一度キーホルダーの魅力に触れてもらわねばなるまいと、筆をとる決意をしました。

もしかなうのであれば、昔のようにランドセルにじゃらじゃらと自慢げに、お土産キーホルダーをぶら下げた子供が友達と土産話に花を咲かせる光景を見てみたいものです。

 

         平成十八年 四月吉日

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