最後のモラトリアムへ 八戸〜函館〜札幌

 

 大学院か就職か大学卒業後の進路を考えに考えた末、以前からやりたいと思っていた実践的な農業を学ぶため、札幌市内の某専門学校で勉強する事にしました。しぶる両親を何とか説得し、この学校を卒業して農業関係の職に就くつもりでした。全寮制で学費・寮費不要、我ながら素晴らしい学校を見つけたと思います。
 そして、大学最後の夏休みを利用して、入学試験前に学校を下見するため実家の八戸から札幌へと出発しました。勿論、途中途中でキーホルダーを収集する目的もあります。
 函館と五稜郭で順調にKHを集めたのも束の間、次の目的地である大沼公園駅の手前で路線が二股に分かれていることを知らず別方向に進んでしまうハプニング。慌てて降車するも次の電車が来るまで2時間近くもあり、このままでは当日の宿泊地である長万部に到着できなくなってしまうおそれがありました。
 駅員も不在で(金が無いからタクシーも使えない)仕方なく多分こっちだろうと思うほうに向かうこととし、不安なまま歩き出しました。すると、ほどなく大沼が見えてきて沼沿いに進むと観光地図を発見して、大沼公園まで意外と近いことが分かりました。
 無事に大沼公園でKHをゲットし、長万部の駅に着いたのが夜7時過ぎ。駅前といってもさした商店街も無く、ぱっと目に付いた定食屋に入り、一番安いカニチラシを注文。ほっと一息をついて足が棒のようになっているのに気づきました。そういえば、大沼もそうだし、五稜郭までもバス代けちって駅から往復10キロ近く早歩きしたりでずっと歩き通しだったもんな〜。


 宿泊はホテルなどという立派なものではなく、大学の長万部校舎の学生寮。夏休み中は学生が帰省するため、東京の学生にホテル代わりに貸し出しているのです。まあ、割と新目の建物で、朝食付で風呂と布団があってただなんで文句なんて言えません。ただ、よりによってこの日はだだっ広い寮内に泊まるのは自分ひとりだけで、風呂場まで移動するのもちょっと怖い。    翌日は、札幌で学校の説明を受けながら、あらためて自分の目で環境を確認。予想以上の内容に入学を即断しました。予定よりもゆっくりしすぎ、帰りの電車に間に合うか分からない?しかもまだKH買ってないし!
 札幌駅についてからはほぼ全力ダッシュ。とりあえず目に付いた土産屋でKHを確保し滑り込みセーフ。北海道の電車は一度乗り過ごすと次の電車までかなり時間が空いてしまうのです。
  どうにかまた長万部の寮に戻り、恒例の就寝前のKHチェック。今回は青森駅、函館駅の周辺や大沼公園、札幌などこまめに買い集め20個ほどになりました。小腹が空いたので、学校の果樹園で貰った早生のりんごを頬張ると、ものすごく酸っぱいな〜。
 結果的には、農業とは全く関係のない仕事に就いたのですが、札幌での1年半は私の人生における最高のモラトリアムとなりました。お世話になった方々には本当に感謝です!!

平成23年8月18日

 

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