自転車でめぐる東海道キーホルダー探しの旅

<プロローグ>

 今年の夏にまた転勤となってから、めっきり外食が増えた。とくにラーメン率が高い。運動の機会も減り、体重がみるみる増え始めた。
 何とかしなければと真剣に考え始めたころ、ふと脳裏をよぎったのは大学のころ見かけたワンシーン。函館の大沼公園にてユースホステル部の横断幕を掲げて記念撮影する一団。傍らには自転車が置いてあり、どこか遠方からはるばる来たのだろう。彼らの充実した楽しそうな笑顔が忘れられなかった。そう、自転車での移動であれば運動と旅のどちらも楽しめるではないか。
 それでは、目的地はどこにするか。これはすぐに東海道の終点、京都に決まった。子供のころ読んだ十辺舎一九の『東海道中膝栗毛』が強烈に印象に残っていたことと、去年浜松へ旅行したときに買った東海道五十三次の本で、先人たちがかつて旅した道をいつか自分も実際に辿ってみたいと思っていたからだ。
 幸い今の職場は比較的休みを取りやすい。日程は予備日を入れて4泊5日、4日間で京都まで行き、残り1日の予備日は京都観光して新幹線で帰ってくるというものだ。家族も職場の同僚も皆同様に「え?冗談でしょ?」と苦笑い。しかし、私は大真面目である。
 自転車旅に向けて1ヶ月かけて準備を始めた。久しぶりに筋トレを行い、自転車も新たに購入した。当初は通勤に使っている愛車のママチャリで行くつもりだったが、そもそも折りたためないから新幹線に積み込めない。

 宅急便で送る運賃を考えたら安い折りたたみ自転車を買った方が安心だし経済的だなと。この自転車には特別な装備は何一つない、ギアさえ付いていない。唯一オプションで買い足したのはスピードメーターだけだ。肉体に適度な負荷をかけながらいかに安くあげられるか。
 事前の予備知識は最低限に抑える。東海道の自転車旅に関するサイトも多々あるが、参考程度にさらっと目を通すくらい。あまり詳細に計画を立てると新鮮味がなくなるし、多少のハプニングがあった方が面白くなるというもの。地図も大雑把なもののコピーだけで、ホテルは到達具合でその日に予約のいきあたりばったりの旅。さてさて、どうなることやら・・・。

 

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