五十里ダム(いかりダム)は栃木県日光市、一級河川・利根川水系男鹿川に建設されたダム。国土交通省関東地方整備局が管理する高さ112.0mの重力式コンクリートダムで、男鹿川及び合流先の鬼怒川、利根川の治水と栃木県営の水力発電を目的とし、同水系において最初に完成した多目的ダムである。ダムによって形成された人造湖は五十里湖(いかりこ)と命名され、日光国立公園に指定されている。ダムは日光国立公園内にあり、川治温泉から至近距離にある。また、鬼怒川温泉・湯西川温泉や竜王峡、日塩道路経由で塩原温泉郷にも近いため観光地化されている。2006年(平成18年)には東武鉄道の東武鬼怒川線が東武日光線経由でJR東日本と相互乗り入れを開始し、新宿駅から発着することで都内からのアクセスも改良された。又東武鬼怒川線は野岩鉄道会津鬼怒川線経由で会津鉄道会津線と直通運転しており、福島県会津若松市まで通じている。途中には江戸時代の街並みを今に伝える大内宿や芦ノ牧温泉があり、栃木と福島を結ぶ観光路線となっている。毎年5月5日近くになると、ダム堤体上に多数のこいのぼりが泳ぎ、見物客の目を楽しませている。ダム湖の名は五十里湖と名付けられているが、江戸時代に海尻橋付近の山腹の崩壊によってできた天然ダムによる堰き止め湖として五十里湖が存在していたという記録が日光東照宮の輪番記録に残されている。この堰き止め湖は高さ70mで湛水面積は現在の五十里湖より大きく、40年間存在していた。この間会津藩により洪水吐き工事が行われたが失敗。その後大雨によって遂に天然ダムは決壊し、濁流は宇都宮まで押し寄せ多数の死傷者を出したという。
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