富士山は和歌の歌枕としてよく取り上げられる。また、万葉集の中には、富士山を詠んだ歌がいくつも収められている。「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」 (3.318) は山部赤人による有名な短歌(反歌)である。また、この反歌のその次には作者不詳の長歌があり、その一節に「…燃ゆる火を 雪もち消ち 降る雪を
火もち消ちつつ…」(巻3・319・大意「(噴火の)燃える火を(山頂に降る)雪で消し、(山頂に)降る雪を(噴火の)火で消しつつ」)とあり、当時の富士山が火山活動を行っていたことがうかがえる。『新古今和歌集』から。富士の煙が歌われている。「風になびく富士の煙の空にきえてゆくへもしらぬ我が心かな 西行 (#1613)」
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