三猿(さんざる、さんえん)とは、3匹の猿が両手でそれぞれ目、耳、口を隠している像である。三猿は、諺の「見ざる、聞かざる、言わざる」を表現したものである。日光東照宮神厩舎に掲げられた伝・左甚五郎作の「三猿像」[1]が特に有名で、この彫刻は日光の彫刻群の中でも「眠り猫」とならび特に著名な作品となっている。また、申(さる)との連想によって庚申信仰とも結びつき、江戸時代の庚申塔には三猿像が彫られることも多かった[2]。「見ざる、言わざる、聞かざる」は、8世紀ごろ、天台宗の教えとして日本に伝わったものだという説がある。漢語の「不見、不聞、不言」を訳したものであり、本来は「猿」とはまったく関係ない。訓読する際、全て「ざる」で終わることから、これを「猿」にかけ「見猿、聞か猿、言わ猿」としゃれて、この教えを表す像として三猿像が作られたものである。世界的にも"Three wise monkeys"(en)として知られ、各地で三猿をモチーフにした置物がつくられている。サルがいないはずのヨーロッパや朝鮮半島にも三猿像は分布しており、材質も、土製、陶製、木製、金属製、ガラス製と多種にわたっている[3]。三猿にさらにもう一匹加えることがある。その猿は「し猿」と呼ばれ、股間を両手でおさえている。「し猿」は、「しざる」(姦淫をしない)と「四猿」をかけたものである。エイズが世界的に問題視された際には、お尻をおさえた「五猿」も現れた。
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